病院独⾃のルール、約半数の看護師が意図理解せず。社会全体で見直す機会を

クラシコ株式会社は、看護師に対する病院ごとに存在する独特なルールや慣習(=「ふしぎなナース文化」)の存在を顕在化し、必要有無の議論を通して看護師がより生き生きと働ける環境づくりを呼び掛けるため、看護師・病院利用者・病院幹部を対象に「ふしぎなナース文化に関する調査」を実施いたしました

生命に関わる重要な仕事を担う職業柄、看護師には衛生面を考慮して様々な制約が付きまといます。一方で、そういった制約の中には「時代錯誤なのではないか?」「なぜ決められているのか理由が分からない」など、看護師が意図を理解できないまま残っている「ふしぎなナース文化」があることが見受けられました。日々感じるこうした葛藤や不満が“看護師の働きにくさ”に繋がってしまっていることから、クラシコは、「ふしぎなナース文化」について社会全体で考え直すきっかけを作りたいと思いました。

「ふしぎなナース文化」を取り巻く関係者たち、つまり看護師、病院利用者、ルール・慣習を作っている病院幹部、それぞれの意見をきくと、お互いの認識にギャップがある様子が見えてきました。 “本当に残さなくてはいけないルール“は現場の看護師にその必要性を浸透させ、反対に、”変えてもいいルール”は相談しながら少しずつ緩めていく。看護師がストレスを感じる「ふしぎなナース文化」の数を減らしていくことで、今よりも働きやすい医療現場を作ることができると考えています。

クラシコは、「白衣は着心地が悪い」という既成概念を覆すような、医師や看護師の方々の仕事のモチベーション向上につながる、デザイン性と機能性を兼ね備えた白衣をはじめとする医療ウェアを提供しています。本調査をきっかけに、看護師の働き方を気遣う声が増え、少しずつ変革の輪が広がっていきますように。看護師が少しでも楽しく働ける世界になるよう、クラシコは今後もサポートしてまいります。

調査概要 

調査名 :ふしぎなナース文化に関する調査(看護師)
日時 :2022/4/16〜2022/4/18
対象 :全国の病院・クリニックに勤務している20代~50代の看護師の男女400名
調査手法 :インターネット調査

調査名 :ふしぎなナース文化に関する調査(病院利用者)
日時 :2022/5/2〜2022/5/9
対象 :全国の病院・クリニックに1年以内に通ったことのある20代~70代の男女400名
調査手法 :インターネット調査

調査名 :ふしぎなナース文化に関する調査(看護管理者)
日時 :2022/7/7~2022/7/15
対象 :看護管理者(看護師長以上)25名
調査手法 :インターネット調査

現場の看護師の声

11の「ふしぎなナース文化」が浮き彫りに

全国の病院・クリニックに勤務している400名の看護師に対し「あなたが働く病院で、疑問や不満に思っているルール・慣習」について聞いたところ、11の「ふしぎなナース文化」を抽出することができました

  1. 髪色は明るくしてはいけない?
  2. 靴下・下着は白でなければいけない?
  3. 看護服は上下とも白でないといけない?
  4. 髪を結ぶシュシュやヘアゴムは、黒や茶など地味な色でないといけない?
  5. 女性はまつげエクステをしてはならず、男性はひげを生やしてはいけない?
  6. 寒い冬でも、半袖のナース服から出る防寒インナーや患者の前でのカーディガンはいけない?
  7. 通勤時の服装も地味でなければいけない?
  8. ナースステーションでは水分補給ができず、飲みものの種類にも制限がある?
  9. 休憩時間であっても、病院外に出ることはゆるされない?
  10. 看護師は移動にエレベーターを使用してはいけない?
  11. SNSで投稿したり、友達の投稿にいいねしたりしてはいけない?

もちろん、病院ごとに差は大きく、11のルール全てを経験していない看護師もいるはずです。
一方で、中には「おしゃれ染めはもちろん、白髪も黒に染めなくてはならない」「たまに通勤時の服装チェックがある」と、さらに細かな制約があるとの声や、「ナースシューズは配給だが、靴擦れなどおきやすい人もいるため指定のナースシューズは時代にそぐわない」と、実体験からの不満の声も上がりました。

※議論シートは、下記URLよりダウンロードいただけます。
https://drive.google.com/file/d/1w_G7YFioEZdiWl5Jv3d-hoj1DGcqYo1a

半数近くの看護師が「ふしぎなナース文化」の存在理由を知らず。
「仕事に行きたくない・辞めたい」、意欲が削がれた看護師は4割

看護師に対して、自分の勤務する病院に存在する独特な慣習・ルールの存在意義や理由を知っているかどうか聞いたところ、「あまりよく知らない」(33.5%)、「全く知らない」(10.5%)と回答した人を合わせると44.0%と半数近くに上りました。多くの看護師が理由が分からないまま、病院独自のルール・慣習に従っている状況にあることがわかります。

その結果、「ふしぎなナース文化」が”働きづらさ”に繋がってしまっているケースは少なくないと考えられます。実際に、こうしたルール・慣習のせいで仕事に行きたくない・辞めたいなど労働意欲がそがれたことがあるかどうか聞いたところ、「よくある」(10.8%)、「たまにある」(28.8%)と回答した人を合わせると39.6%と、4割を占めました。

理由の分からない病院独自ルール・慣習への不満が、仕事へのモチベーションの低下に繋がり、離職に発展するケースもあることが考えられます。

現場の看護師の声

「ふしぎなナース文化」は病院利用者のため?
病院利⽤者の8割以上は「不要」なのではとの回答

 病院利用者400名に対し、看護師から挙がった11の「ふしぎなナース文化」について、「そう思う(ルールは必要)」か「そうは思わない(ルールは不要)」かを問うアンケートを実施いたしました。その結果、全ての回答で6割以上が「ルールは不要」と答える結果に。11のルールの平均を取ると、平均8割以上(84.4%)の人が「ふしぎなナース文化」を不要と考えていることが明らかになりました。

身だしなみ・服装に関するルールに従っていなくても特に気にならない人が7割超

また、11の「ふしぎなナース文化」のうち7つを身だしなみ・服装に関するルールが占めています。そうした身だしなみ・服装を看護師がしていなかった場合「清潔感がない・不快だと感じるか」と聞いたところ、「非常に感じる」(5.2%)「やや感じる」(18.5%)と不快感を感じる人は23.7%に留まる一方、「あまり感じない」(49.5%)「全く感じない」(26.8%)と、身だしなみ・服装に関するルールに従っていなくても特に気にならない人は7割を超える(76.3%)結果となりました。

「ふしぎなナース文化」に挙げられているものの中には、下着や靴の色など、病院利用者からの見え方を気にして指定されているものも多いと考えています。大半の病院利用者が”気にしていない”ことが明らかになった今、身だしなみ・服装に関する「ふしぎなナース文化」は残すべきか緩めるべきか、見直す余地があると分かりました。

病院幹部の声

11の「ふしぎなナース文化」には、衛生面・患者のために必要なものもある

 病院幹部である看護管理者(師長以上)25名に対し、看護師から挙がった11の「ふしぎなナース文化」についての意見を問うアンケートを実施いたしました。

「ふしぎなナース文化」として挙がった中には、命を預かる責任から必ず守らなければならないものもあるとの意見が多く寄せられました。意図を理解していない現場看護師が4割を超える中、現場への浸透が足りていない状況があるようです。

一方で、身だしなみに関しては、必ずしも衛生面など確固たる理由があるわけではなく、周りの目を意識して残されているものも多く存在しました。そのため、病院ごとに規制の強さの強弱があり、独自ルール化していると考えられます。また、「常識的な範囲が分からないだろうから全面禁止」「指定しないと清潔感や誠実さがなくなってしまうだろう」といったように、現場看護師に対する先入観で極端に縛ってしまっている例も見受けられました。

厳しすぎるルールの背景には「対話の不足」

ルールについて看護師たちと話し合ったり、意図を説明して理解を図ったりするような機会があるかどうか聞いたところ、あまりない・全くないと答えた人は52%と約半数に上りました。

注意喚起で解決することを、罰則も生じるようなルールで必ずしも縛る必要があるのか。理解を図るための現場看護師との対話、そして利用する一般の方々との対話が不足している可能性が考えられます。

まずは身だしなみから。変わり始める病院


昨今、身だしなみに関するルールを緩める動きが一部の現場であることも伺えました。業務に影響を与えない範囲で、暗黙のルールを見直し、看護師の自由を広げる動きが少しずつ広がっています。

3者の声から見えたこと

「時代錯誤」「業務に支障がなければ行動は自由であるべき」
身だしなみ・服装から変革を

「ふしぎなナース文化」を知った病院利用者からは、「業務に支障がなければ行動は自由であるべき」「時代遅れ」「過剰な規制は必要ない」「不自由を感じないで仕事をしてほしい」といった声が寄せられました。
看護師が少しでも楽しく働けるよう、ルールを可能な部分から緩和していってもよいのではないでしょうか。

賛同者の声

一般社団法人 看護職の採用と定着を考える会 理事 中島美津子様

Web3.0時代の到来、まだこんなことやってんの?と世間に知られることは進化のきっかけになります。コロナ下で世界に恥を晒した日本のfax・紙文化。でもそのお陰で今は随分と変化した医療界。本結果も、笑ってしまいますが、今後の進化が期待できます。ただ先輩たちが織り成してきた文化を否定してはいけません。先人たちの文化があるからこそ、今の文化が存在するわけで、根拠のないルールが全て不要ということではありません。もっと看護師として誇りをもって人生を謳歌できるための更なる変化への起爆剤としての本結果の活用が期待されます。

株式会社ファミワン 代表看護師/不妊症看護認定看護師 西岡有可様

毎日着るユニフォームが、患者様にとって清潔と安心を示すものであり、看護師にとって働きやすさやモチベーションにつながるものであれば、それは医療の質にもつながる革命なのではないでしょうか。
憧れのクラシコのユニフォームを着て、今日も患者様の元に向かう。そう考えただけで、毎日の臨床が少しだけワクワクする。そんなユニフォームがこれからの時代には必要だと考えています。

看護服の実態と、クラシコが提供する”看護師に寄り添う看護服”

看護師が毎日身にまとう看護服。
調査を通して、看護服に関しても「病院指定のものを着用しなければならない」(53.8%)、「看護服は自分の希望するタイミングで買い換えられない」(31.3%)、「看護服のデザインを要望することはできない」(27.5%)など、不自由な状況があることが分かりました。

クラシコでは、デザイン・素材・縫製全てにこだわりぬき、医療関係者の働く意欲を高めるような「美しさ」と「着心地の良さ」を兼ねそなえた白衣をはじめとする医療ウェアを提供してきました。特に看護服については、上質さと機能性を兼ね備えたスタイリッシュなスクラブのほか、人気ルームウェアブランド​​gelato ​​pique(ジェラート ​​ピケ)とコラボレーションした看護服「ジェラート ピケ&クラシコ」を展開しています。

着心地のいい看護服がより多くの看護師に行き届き、まずは看護服から、少しでも看護師が働きたいと思える世界に。今回の調査のように、クラシコは前時代的な発想とデザインが横行する医療現場に新しい風を吹き込み、みんなが「こうだったらいいのにな」と思う理想を現実化していきます。

プレスリリースのPDFはこちら